テトラサイクリン歯の治療の種類
テトラサイクリン歯では、特有のしま模様やグレーや茶色の歯の変色が、テトラサイクリン系の薬が原因となり起こります。
テトラサイクリン歯の度合いや現在のお口の中の状態によっても、適応となる治療が変わってきます。
ここでは、テトラサイクリン歯の治療の種類やそれぞれの治療の特徴ついて詳しくみていきましょう。
テトラサイクリン歯とは
【テトラサイクリン歯の状態】
テトラサイクリン歯とは、テトラサイクリン系抗生物質の服用により変色した歯のことを指します。
永久歯の形成が行われる時期(胎児期から10歳前後)にテトラサイクリン系の抗生物質を多量に服用すると、テトラサイクリン中の成分が歯の象牙質に沈着して太陽光の紫外線と化学反応を起こすことにより歯の表面に変色が起こります。
変色はグレーや黄色・茶色となることが多く、特有のしま模様も歯の表面に現れることがあります。
テトラサイクリン歯の治療方法
テトラサイクリン歯の治療方法としては、大きく分けて3種類挙げられます。
- ホワイトニング
- ラミネートベニア治療
- セラミック治療
テトラサイクリン歯の度合い(軽度・中度・重度)や、現在の歯並びやかみ合わせなどによっても適した治療が異なります。
それぞれみていきましょう。
テトラサイクリン歯の治療法①:ホワイトニング
ホワイトニングは歯の表面に薬剤を塗布することにより、歯の黄ばみや黒ずみを引き起こす色素を分解して歯を白くする方法です。
ホワイトニングは歯を削る必要がなく、軽度のテトラサイクリン歯であればホワイトニングを繰り返すことにより審美的改善が期待できます。
ただし、テトラサイクリン歯は通常の歯に比べて白さが上がりにくいため、ホワイトニングの回数や頻度を多くする必要があります。また、どれくらいまで白くできるかは歯質やテトラサイクリン歯の度合いにより個人差があります。
中度~重度のテトラサイクリン歯の場合には、ホワイトニングで改善できない可能性があるため、まずは詳しく相談してみましょう。
ホワイトニングの治療の流れ
カウンセリング
カウンセリングで現在の歯の状態を確認し、ホワイトニングが適用となるか・どれくらいまで白くできるか詳しくご相談いたします。
ホワイトニング
まずはオフィスホワイトニングの薬剤塗布の前にエアフローという器具を使用して歯の表面の着色を除去し、薬剤をより浸透しやすくします。
また、オフィスホワイトニングと、ご自宅でご自身で行っていただくホームホワイトニングを併用していただくことで、より効果を実感していただけます。
テトラサイクリン歯の治療ではホワイトニングを複数回行っていただく必要があります。当院では、トリートメント剤塗布やフッ素塗布がついた各種コースメニューを取り揃えております。
テトラサイクリン歯治療をホワイトニングで行うメリット
- 歯を削る必要がない
- 自然な白さを手に入れられる
- 軽度のテトラサイクリン歯には適応可能
テトラサイクリン歯治療をホワイトニングで行うデメリット
- テトラサイクリン歯の度合いによっては適応にならない
- どれくらい白くできるかは個人差がある
- ホワイトニングの薬剤で一時的に痛みが出る可能性がある
- 時間が経つと多少の後戻りを生じる
テトラサイクリン歯の治療法②:ラミネートベニア治療
ラミネートベニア治療はセラミック製のシェルを歯の表面に貼り付けることで、歯の色味や形態を整えることのできる治療法です。
テトラサイクリン歯は軽度であればホワイトニングを繰り返すことで、ある程度までは改善することもありますが、白濁が逆に目立ってしまったり、重度であるとホワイトニングで大きな改善を目指すことは難しいと言えます。
ラミネートベニアであれば歯の表面のお色味を大きく変えることが可能なため、軽度から重度のテトラサイクリン歯まで適応になります。
さらに、従来のラミネートベニア治療では、歯の表面をわずかに削りシェルを貼り付ける手法をとっていましたが、当院ではご自身の歯はまったく削らずに表面に貼り付ける「削らないラミネートベニア」という新しい治療法も取り入れています。
テトラサイクリン歯を改善したいけれど、歯を削ることに抵抗のある方にもおすすめの治療法です。
※歯を少しだけ削るラミネートべニア治療か、歯を全く削らないラミネートべニア治療どちらが適応になるかは現在のお口の状態によって異なりますので、ご了承ください
ラミネートベニア治療の流れ
カウンセリングと検査
まずは現在のお口元の状態を拝見し、適応となる治療についてご相談いたします。
型取り
ラミネートべニア治療により治療を行うことが決定となった場合、歯の表面をわずかに削り型取りを行います。(削らないラミネートベニアであれば表面は削りません)
ラミネートべニアをセット
できあがってきたシェルをご確認いただいたうえでお付けしていきます。
当院では接着剤にもこだわっており、色味も種類豊富に揃えています。もっとも美しく仕上がる色を見つけるためにトライインという試し付けを行って接着剤を決めます。
特にテトラサイクリン歯の治療の場合、歯の着色が透けて見えないよう、色を遮断するはたらきを持った接着剤を使用し、白く明るい色になるように仕上げていきます
テトラサイクリン歯治療をラミネートべニアで行うメリット
- 幅広いテトラサイクリン歯で適応となる
- 歯を削る量が少ない、もしくはまったく削らない
- 歯の大きさや形も変えることができる
- ホワイトニング以上の白さにすることもできる
- 色の後戻りの心配がない
- セラミック治療に比べて費用を抑えられる
テトラサイクリン歯治療をラミネートベニアで行うデメリット
- 症例によっては歯をわずかに削る必要がある
- セラミッククラウンと比較すると強度が低い
- 嚙み合わせやお口の中の状態によっては適応にならないことがある
テトラサイクリン歯の治療法③:セラミック治療
セラミッククラウンとはセラミックでできた被せ物を指します。
セラミックによるテトラサイクリン歯治療では、歯を削りそこに土台を立ててセラミックの被せ物を装着することでテトラサイクリン歯特有の色味やしま模様を改善します。
軽度~重度まで幅広いテトラサイクリン歯に適応となり、治療期間も2か月~3か月と短期間です。
また、セラミック治療では歯のお色だけでなく、歯並びや歯の形・大きさも整えることができます。例えばテトラサイクリン歯の色味の改善と一緒に、歯並びやガミースマイルを改善したいというケースにも適応となります。
ラミネートべニアに比べて強度にも優れており、割れにくい・取れにくいこともメリットです。
セラミッククラウン治療の流れ
カウンセリングと検査
まずはカウンセリングで現在のお口元を拝見し、治療をされることが決定しましたら検査を行います。
神経の治療
必要に応じて神経の処置を行います。
土台の構築・仮歯を入れる
歯を削り土台をたてて仮歯をお入れします。仮歯の状態をご確認いただき、最終的なセラミッククラウンの形態や歯並びのシュミレーションを行います。
型取り
被せ物の土台となる歯の形をしっかりと整えた上で型取りを行います。
セット
出来上がったセラミッククラウンをご確認いただいた上でお付けします。当院では接着剤にもこだわっており、色味も種類豊富に揃えています。
テトラサイクリン歯治療をセラミッククラウンで行うメリット
- 軽度~重度まで幅広いテトラサイクリン歯に適応する
- ホワイトニング以上の白さにすることもできる
- 透明感やグラデーションなど細かい要望もかなえられる
- ホワイトニングのような色の後戻りが起こらない
- ラミネートベニアに比べて強度が高い
- 歯の大きさや形も変えることができる
- 併せて歯並びやガミースマイルの改善も行うことができる
テトラサイクリン歯治療法比較表
ホワイトニング | ラミネートベニア | セラミック治療 | |
重度の症例への適応 | × | ◎ | ◎ |
白さ | △ | ◎ | ◎ |
歯を削りたくない | ◎ | ○ | × |
歯並びの改善 | × | △ | ◎ |
色の後戻りの少なさ | △ | ◎ | ◎ |
強度 | ー | △ | ◎ |
手軽さ | ◎ | ○ | △ |